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テーマ |
長崎におけるコミュニティビジネスの取り組みについて |
日付 |
2010年03月31日(水) |
於) |
長崎県 県産業労働部 雇用労政課 浅井勝也氏・宇佐美英輔氏 |
- なぜコミュニティビジネスを選んだのか
鎌倉市でNPO活動を始めとする様々な市民活動が活発に展開されている。コミュニティビジネス(以下CB)は売り上げを一義的な目的とせず、各地域の特性に応じたビジネスを展開することで、地域を巻き込み、より地域の活性化、雇用促進などに繋がると期待されている。
昨今行政の肥大化・市民ニーズが多様化したことに対して、民間協働の取り組みをより進めるべきという視点もあり、CBの担い手を拡大することで、同時にこれら協働の担い手を育成する環境作り、市民活動に参加する契機となる取り組みと捉え、今回長崎県の取り組みを視察先に選定した。
- 県庁・雇用促進課に対する質問項目と当日のヒヤリング結果
- 県ではコミュニティビジネス(CB)への支援を通じてどのような効果を期待するか
→ 地域の活性化と雇用促進
- 活動中の団体の現況をどう把握するか
→ 補助金交付を決定する時点では事業内容・計画などを提出させるが、その後の運営に対しては、相談・助言事業で、相談を行いたい団体ベースでフォローを行い、どういった運営状況かを把握するまで手がまわっていない実態が明らかとなった
- 収益を生み出している、いわゆるビジネス面から見て成功を収めている団体の要因
(地域への貢献度・地域資源の利用・ビジネス内容・構成員など?)
→ 事前計画の緻密さ・地域ニーズに合致しているか、また予想通りのニーズを地域で発掘でき、確保し売り上げに結び付けられているか
- 各団体の活動状況をどのように把握し、また課題に対してどうフォローしているか
→ 担当課が雇用促進課に移管した性格上、雇用状況の調査に留まる
- 同事業の課題は何か
→ 離島地域で展開されるコミュニティビジネスは人口が少なすぎて、十分な収益を確保できず、なんらかの対策が必要
- 既存のみならず、新しいCBの担い手をどう育成するか
→ CBを実施する団体同氏のネットワークが構築できる環境を提供している
- 今後のCB事業の方向性
→ 平成20年度から離島地域に対して直接の取り組みを行う・従来までの地域は市町を担当窓口とし、市町の事業費の3分の2を補助する
- ヒヤリングを通じて感じた課題
- 県が取り組み自体を開始したことは評価に値し、また4,5年の実施経過の中で20年度より市町にCBへの補助事業を移管することは方向性として正しい(地方の方が実情や、実施団体の現状をつかみやすいため)
- しかし、市町が主体となるべきCB事業への理解が進んでおらず、また全額補助でないことから財政面からのしり込みすることも考えられ、今後補助を受けて事業を実施してきた団体にも影響がでる恐れがある
- 立ち上げ期間に対する補助とはいえ、評価基準や、現状把握の方策が決まっていないため、どの状況において、運営が軌道に乗ったのが非常にわかりづらい状態で、補助が生かしきれない可能性がある
- 今回はNPOなどの法人格を持っていなくても応募の対象としたことで、広範な分野から補助を行うことができた事は評価してもよいと感じる
- 地域活性化の担当部署から雇用促進課に移管したことで、CBのコミュニティという色が薄まり、かつ雇用増加に結びついていない状態に対しては今後なんのためにこの事業を行うのか明確に打ち出す必要がある。
(例えば離島で行うなら、全国的に発信して、人口増加、若年層誘致の、いわゆるIターンの契機となるくらいの位置づけを行うなど)
- 結論
コミュニティビジネスの理念自体は素晴らしいものだが、それを後押しする理由づけ・また優先順位付けが必要となる(例:鎌倉市の場合は行政が手をつけきれない分野への進出を促すため)。これが評価づくりにも繋がる。
CBの運営を評価・フォローできる体制作りを整える必要がある。
- 県・CB助成を受け、CB実施団体としてHPで紹介されているNPOへの視察
- NPOクレイン・ハーバー(不登校児のつどいの場)代表 中村尊氏
- 小中高までの不登校児童生徒の集まる場所を提供する。
- 中学校時代に不登校でも通信制などを利用するなど実績はあるが、まだまだFSに対しての理解が進まず、利用に際して家庭が躊躇している側面もある。(市内不登校児童・生徒の1,500人に対して15名の利用。1%)
- 対人恐怖症などからアルバイトの応募に際しても履歴書かけない、面接が受けられないといった事があり、いわゆるソーシャルスキルトレーニングの面からパン屋を運営することとなった。(現在はまだ販売など行っていない)
- 平日開所 陶芸・ボランティア活動・畑など 活動内容自体も子どもたちと一緒に決定。
- カウンセリングの時間などは特に設けず、上記の活動を通じて子どもたちが心を開くのを待つ。
- 長崎大学が実施するコミュニティビジネスの会議で、様々な分野で活動する団体との関係構築を行うことができ、日常活動の幅が広がった。
- 雇用労政課はコミュニティビジネスの観点からの補助金。
子どもみらい課からは地域子育てアクション事業として、県内9箇所で不登校児童に対する相談会などを実施した(離島地域も含める)
- ひきこもりの子どもたちを個別に訪問する事業を立ち上げた。
- 上記のパン屋の運営にあたって県への補助金を助成したが、市におろされ、予定していた時期に補助金が間に合わず、事業計画に遅れが出てきている。
- FSに関して雇用までのゆとりはなく、有給者は代表のみ。
- NPO子育てネットながさき(現在解散手続き中:主に資金面での継続難のため)
- 子育て支援センターの運営・コミュニティカフェの運営・フリーペーパーの発行など。
- 市からの補助も受けて運営していたが、現場のスタッフと経費分くらいしかない。
- 食べていく、という観点から自主事業も展開しないと運営がたちゆかない。
- 賛助会員など経営基盤をきっちり作っておくべきだった。
- 団体内でのリーダーの育成が必要・また人事体制をきっちり構築すべきだった。
- NPO活動では民間からの借り入れなどができない。
- ヒヤリングを通じて・各団体から行政に対する要望事項など
- 補助金交付に対しては、時期・金額などを決定した後に計画変更が出ると、活動に多大な影響を及ぼす(県・市間でもスムーズに連携してほしい)事について考慮してほしい。
- 活動の運営に対して、もう少し実務的なフォロー必要(相談窓口などは設置されているものの、弁護士・税理士などではなく、人事体制や、人材育成・またNPOの経営などNPO活動全般に対して詳しいアドバイス者がいてほしい)。
- 市の目指す事業に対する目標と支出が適正に合致しているのか。
- 横浜市で実施している、各種委託・補助事業への行政の評価基準策定が必要ではないだろうか(評価=事業実施方針の明文化・担当者が変わったとしても受け継がれるよう)。
- 市川市の1%条例など市民活動に対する理解を深める取り組みが必要
。
- 行政とNPOなどとの協議の場にお互いの言いづらいことや、行政の仕組みに理解のある事について説明できる代弁者、コーディネーター役のような人が必要ではないか。
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